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保育研究レポート2

             こどもの自主性を育てる

                       Mテクノソリューションズ 代表 南側晃一

1.はじめに
 学童保育の現場における指導員の中には「こどもは自分のことは自分ですべきだ」と思い込んでいる方が多いように思います。そのため、何でもこどもたちにやらせようとする姿勢が気になります。確かに、こどもが自主的・主体的に行動ができるように指導員として支援する必要がありますが、間違ったやり方をしていませんでしょうか。いつも「自分でやりなさい」と言ってませんか。おやつ当番や掃除当番などを決めて、強制的にやらせていませんか。こどもたちが自ら自主的に行動ができるように導いていますか。そこで、今回の保育研究レポートでは、こどもたちの自主性を高めるために、指導員としてのこどもたちへの関わり方について検討します。

 2.こどもの要求に応える
 こどもが「鉛筆削り取って」と言った時、あなたはどうしますか。こどもは自立心が大切だから「自分のことは自分でしなさい」と言いますか。もしあなたが、そのような態度でこどもと接したならば、こどもの自立心は伸びないでしょう。それどころか、こどもとの信頼関係が崩れていくことでしょう。なぜなら、こどもが「やってほしい」と願っていることを、あなたは拒絶したのですから。そのため、あなたから拒絶されたこどもは、今後あなたのお願いを受け入れないでしょう。そしてあなたは「あの子は私の言うことを聞かないから困る」と思うのです。でも、よく考えてください。こどもがあなたの言うことを聞かないのではなく、あなたがこどもの言うことを聞かなかったのです。もしあなたが、こどもが「鉛筆削り取って」と言ったとき「は〜い」と言って喜んで取ってあげたなら、こどもは自分の気持ちを受け入れられたことを喜び、そのこどもは他の人の気持ちを受け入れられるようになっていくことでしょう。

 3.こどもどうしの輪をつくる
 指導員は、こどもと遊ぶことが仕事ではありません。こどもにとって一番大切なことは、こどもどうしで遊ぶことです。こどもは、こどもどうしの関わり、すなわちこどもの世界の中で色々な経験をしながら自立していきます。そこで指導員の仕事は、こどもたちが一緒に遊べるように、こどもの輪を作ることです。例えば、こどもが「トランプやろう」と誘ってきた時、単にその子と遊ぶだけでなく、他のこどもたちにも「トランプする人いる?」と声を掛けて、集まってきたこどもたちと一緒に遊びます。そして、@楽しそうにみんなと遊ぶ、A他のこどもが興味をもって「私もやりたい」と参加してくる、B人数が多くなれば状況を見て「ごめん、ちょっと用事あるから抜けるね、また後でお願いね」といって、そのゲームから抜けて、こどもたちだけで遊べるように導きます。また、暇そうに一人遊んでいる子がいれば、「一緒にあそばない?」「何かやりたいことある?」と声を掛けることも大切です。主役はこどもたちであり、指導員はあくまでも「黒子になる」ことです。あなたは自分が中心となってこどもたちと遊んでいませんか。それは単にあなたの自己満足でしかなく、指導員として失格です。あなたは指導員として何をすべきか?日々の保育実践の中で、研鑽していって下さい。

 4.しなやかな心を育てる
 こどもが自立していく上で、心の成長はとても大切です。皆さんは、こどもたちに「やさしい心」「強い心」を持ってほしいと思いませんか。そこで「強いこころ」とは、どのような心でしょうか。心の強さには大きく分けて2つあると思います。一つは「硬くて強い心」、もう一つは「しなやかで強い心」です。こどもを厳しく育てることによって心は強くなっていきます。でも、その強さは硬い強さです。そのような硬い心は確かにすぐには折れないかも分かりません。しかし、ある限界を超えると急激に破壊してしまいます。それは、非常に危険な心ではないでしょうか。それに対して「しなやかなこころ」は柳の枝のように一見弱く見えるのですが、実はそう簡単には折れないでしょう。ですから「硬いこころ」ではなく「しなやかなこころ」に育てていくほうが良いと思います。では、「しなやかなこころ」はどのようにすれば育てることができるのでしょうか。それは、こどもの心を愛情で満たしてあげることです。人から愛され、支えられている人は、困難に直面しても簡単には折れません。こどもには、日々たくさんの愛情を注入してあげてください。でも、心に充填された愛情も、様々なストレスによって消耗していきます。そのため、特に児童期には継続的な愛情の注入が必要です。ぜひ、こどもたちに注意や指示をするのではなく、日々たくさんの愛情を与えてあげて下さい。

5.おわりに
 今回は、私が10年間で10か所の施設において、学童保育の現場実践で感じた事を整理しました。こどもの支援とは何か、それは、いかなる場合でもこどもを支え、困ったときに助け、たくさんの愛情を与えてあげることだと思います。愛情で満たされたこどもたちは、とても明るく活力があり、自ら積極的に行動しています。今後も、こどもたちの自主性を育てる支援のあり方について、保育実践を通じて考えていくことが大切です。

 2024年6月15