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保育研究レポート1

   こどもたちのトラブルに指導員はどのように対応すべきか

                              KMテクノソリューションズ 代表 南側晃一

1.はじめに
 児童保育の実践現場では、こどもどうしのトラブルに指導員が適切に対応する必要があります。指導員のこどもへの関わり方は、トラブルの内容によって変える必要があります。そこで今回は、ひとつの事例をもとに、指導員としての対応のあり方を検討することにします。 

2.事 例
 今回の事例は、2年生の女子児童3人でのトラブルです。Aちゃん、Bちゃん、Cちゃんの3人がもめていました。いつものことですが、Aちゃんが泣き顔になっています。最近この3人には、もめごとが多くなっています。その原因は、どちらがCちゃんと遊ぶかでAちゃんとBちゃんの言い合いになります。この日もCちゃんの取り合いになっていました。3人で遊べれば良いのですが、AちゃんがCちゃんと一緒に遊びたい内容と、BちゃんがCちゃんと遊びたい内容が違うようで、2人の意見が一致しません。私はしばらくの間、3人がもめている様子を見ていましたが、間に挟まっているCちゃんが困った様子でしたので、私から3人にアドバイスをしました。

私:「なかなか話がまとまらないようだね。『自分が先に約束したから自分がCちゃんと遊ぶ』と、お互いにこだわっていたら、いつまでたっても解決しないよ。一度、今までの約束は無しにして、今後Cちゃんとどのようにして遊ぶのか、改めて3人できめたらどうかな?」

Cちゃん:「うん、わかった。じゃあ3人で話し合いして決めるね」

しばらくの間、3人で話し合った後、Cちゃんが「きまった〜」と報告にきました。

Cちゃん:「今日はAちゃんと遊んで、次の日はBちゃんと遊んで、その次ぎの日は3人で遊ぶことにしたよ。こんどまた、もめるようなことがあったら、また話し合いするね」

私:「うん、よかったね」

とりあえず問題が解決できたようで、3人とも笑顔に戻っていました。

3.考 察
 指導員が、こどもどうしのトラブルに対応する方法として、大喧嘩などこどもの安全に関わるトラブルは速やかに対応することは当然ですが、それ以外の場合は、できる限りこどもどうしで問題解決できるように導いてあげることが大切です。ただし、関与の方法は、トラブルの内容とこどもの特性により異なります。そこで、トラブルが発生すれば、こどもたちの様子をしばらくの間観察し、どのような対応が望ましいかを考えます。対応の方法は、以下の3種類から選択します。

@問題解決のアドバイスを与えて、こどもたちに問題解決させる

A指導員が問題解決の具体的方法を提案し、こどもたちと一緒に考える

B指導員自らが問題解決の方法を決定し、こどもたちに実行させる

 上記@の方法は、トラブルの内容が比較的軽微で、こどもどうしで話し合いができる状況であると考えられる場合に採用できます。今回の事例はこのパターンであり、3人は日頃から仲が良く、話し合いができる状況であり、またCちゃんには調整する能力があると考えられましたので、この方法を採用しました。もし、@の方法を採用して、こどもどうしで話し合いができない、あるいは話がまとまらない、などの状況が発生すれば、Aの方法に変更すればよいでしょう。

Aの方法は、「〇〇のようなやりかたはどうかな?」など、指導員が問題解決の方法を具体的に提案します。ただし、その提案はこどもたちが受け入れられる内容でなければならないので、かなり難しいかも分かりません。せっかく提案しても「そんなん、いや〜」と反発されることが多いと思います。でも、そのように反発してきた場合は「じゃあ、どうすればいいと思う?」と質問を投げかけると、こどもたちは気持ちが切り替わって、自分たちで問題解決できることがあります。いずれにせよ、こどもたちの反応を見ながら、指導員が提案し、こどもたちが考えるといった行為を指導員とこどもが一緒になって繰り返すことで、問題を解決するだけでなく、こどもたちの考える力を養うことも可能となります。

次にBの方法ですが、上記@Aの対応を行ってもどうしても問題顔決ができない場合は、指導員が問題解決の方法を強制的に実行させることになります。強制的と言っても、強い指示ではなく「〇〇の方法でやってくれるかな、それでだめならもう一度考えようよ」とお願いするのが良いでしょう。

このように、指導員はこどもたちの問題解決に向けて、
 (1)どのような対応をするかを考える(Plan)
 (2)考えた方法を実行する(Do)
 (3)実行した結果がどうであったか考察する(Check)
 (4)その考察の結果を次の問題解決に活かしていく(Action)

といった、PDCAの管理のサイクルを回して、より良い児童保育を目指すことが大切です。

                                                      以 上